花に感謝しよう〜花を切ることを悲しまないで〜

みなさんはお花を切る時に悲しい気持ちになったことはありますか?

私は実家が農家だったこともあり、種を蒔いてせっかく生えた大根の葉っぱたちも間引く(間隔があくように抜く)ことが当たり前だったし、トマトの摘心(茎の先端にある芽を摘み取ること)も当たり前、できたブロッコリーを収穫するために切ることも当たり前。

そんな環境で育ったので、私はお花を切ることに対してそんなに抵抗がありませんでした。

しかし、先日生徒さんとの会話の中で「お花を切ることは殺生しているようでかわいそうになる」ということばを聞いて、そういう感じ方をする人がいることを知りました。

「お花=生き物」と考えると、お花を切ることに躊躇あるのは当然のことですよね。

お花のことを考えてあげられる素敵な感性なんだと思います。

しかし、フラワーアレンジメントは切り花をさらに切ったりして飾るものなので、もしかして悲しい!?とちょっと心配しております。

お花を飾ると悲しくなる。フラワーアレンジメントは罪悪感。

そんな気持ちになってしまうお花好きさんのために、こちらの記事を書きました☆

お花を飾るときに、心がちょっと軽くなるかも?

なぜ花に対して悲しい気持ちになるのか

お花は枯れるもの

植物(お花)は子孫を残すために、常に成長を続けている生き物です。

葉が出て、花が咲き、種を落とし、また葉を出して・・・を繰り返していきます。

私たち人間は長い歴史の中で、その繰り返しの中の”花”を飾ることにたくさんの意味を見つけ、恩恵を受けるようになりました。

しかし、お花を飾るにあたり、葉や花を「切る」という行為をしています。

飾ったお花は、いずれ枯れてしまいます。

枯れたお花は生命の終わりを感じるので、悲しくなってしまいますね。

お花は切られて痛がっている/悲しんでいるのでは?

お花を生き物と同じように感情があると感じることはありませんか?

植物(お花)には脳がありません。

そのため、植物(お花)には「感情」はないと言われています。

しかし、植物(お花)の世界はまだまだわからないことばかり。

モーツアルトの曲を聞いて実が美味しくなったというニュースや手をかけてお世話をしたことでたくさん花や実をつけたりしてくれるので、感情がないとは言い切れない気がしてしまいますよね。

もし、植物(お花)に感情があるのだとしたら、切ることで痛みを感じていたり、恐怖や悲しい思いをしている可能性もあります。

そんなことを考えたら、お花を切ることに罪悪感を感じてしまいますね。

失敗しても、もとには戻らない

布を切って失敗したら縫い合わせたり、紙を切って失敗したらのりやテープではったり。

失敗しても簡単にもとに戻すことができる時代ですよね。

しかし、お花は折れた程度であれば、うまくつなぎ合わせることで修復できることがありますが、切れてしまうともとに戻すことは難しくなります。

そのため、切ってしまったあとに「失敗した」と感じた場合、失敗を取り消すことができません。

失敗したと感じると悲しい気持ちになりますよね。

植物ははさみで簡単に切れる手軽さに反して、悲しい思いをする可能性のある重い作業に感じると感じることがあるかもしれません。

視点を変えてみよう

お花の寿命は短い。その一瞬を輝かせよう!

お花は綺麗なものであるため、まるでそれが完成形だと感じてしまいがちです。

しかし、植物にとってお花が咲くのは次の種を作るための過程であり、ずっとお花を咲かせているわけではありません。

地に咲くお花は次々とお花を咲かせていくため、まるで長い期間お花が咲いているように感じますが、実際にはそのものの咲いている期間はとても短いものです。

そうです。お花の寿命(開花期間)はもともと短いのです。

切ったことによって枯れたととらえがちですが、お花が咲き続けることはもともとできないのです。

お花の咲く貴重な瞬間はとても人を魅了する力を持っているのですから、すごいですよね。

そのお花の瞬間をその場でそのままの輝きとすることもできますが、私たちは”飾る”ことによって1本1本のお花の瞬間を輝かせることもできます。

1本1本のお花の魅力を引き出せることがフラワーアレンジメントや生け花等の魅力の一つです。

もちろん、フラワーアレンジメント等はお花の寿命をさらに短いものとしてしまうことは否めないです。

お花の命の尊さを知っているからこそ、そのお花の魅力を引き出すことやその花との対話が花を生ける人の大切な命との向き合い方なのではないでしょうか。

お花が喜べるように感謝しよう!

お花には痛みがあるかも感情があるかもわかりません。

ですが、わからないのであればあるものとして考えてあげましょう。

どうしたらお花が痛い思いをしなくて済むのか。悲しい思いをしなくて済むのか。

痛みに関しては、切れ味の良いハサミを使用しましょう。

切り口がつぶれてしまうとお花が水分を吸い上げにくくなってしまいますし、とても痛そう・・・

なので、スパッと切れるハサミの管理をお願いします。

また、無駄な傷をつけないために丁寧に扱ってあげましょう。

置くときやお花を花瓶から抜き取るとき等、傷つきやすいです。

ちょっとした心遣いだけで、お花の傷を減らすことができます。

そうすることで、傷を減らすだけでなく、花が悲しむことも防げます。

そして、何より花に対して敬意と感謝の気持ちをもちましょう。

お花を咲かせてくれたことによって、私たちはお花を観賞することができていますよね。

そのお花に対して「よく咲いてくれたね」と咲いたことに対して感謝し、お花をアレンジさせてもらい観賞させてもらえることに感謝しましょう。

フラワーアレンジメントでは葉をとったり、短く切ったりすることもあります。

それはそのお花たちの魅力を引き出すための行為となります。

人間だって人に見られるのであれば、髪の毛を整えたりお化粧したりして、より魅力的な姿を見せたいと思いますよね。

お花だってキレイ!かわいい!と言われるために、野では必要だったかもしれない葉も整えて(切って)ほしいときもあります。

天然の美しさだけが魅力的なのではなく、自然のように整えられた姿や装飾的な姿もまた花の魅力として引き出してあげることができるかが、花を扱う人の花への敬意にあたります。

そのために1本1本のお花を観察して、どんな特徴があるのか、どんな使い方をすると効果があるのか考えられるといいですね。

短い命を最大限に輝かせられれば、お花だって喜びます♪

失敗はない。学ばせてもらおう!

お花は切るともとには戻せません。

そのため、切るときに失敗した!と感じることもあります。

しかし、それは本当に失敗なのでしょうか?

もちろん決まった形を作るにあたり、切りすぎて長さが足りないなんてこともあるとは思います。

でも、それは決まった形で決まったところに当てはめようとしているから。

他の場所のお花と入れ替えたらどんな影響がありますか?

決めていた形は変更できないものですか?

今のお花でできることはないですか?

時間や花材の制限がある中では失敗したから、新しいのに取り替えて!なんてなることもあります。

あなたがもし仕事としてお花を扱っているときには難しいかもしれませんが、もし趣味としてお花を扱っている時なら、デザインイメージにこだわらず、新しい何かができるチャンスとして、そのお花でできることを考えてみてはいかがでしょうか?

失敗は新しいチャレンジへのチャンスです。

短くなるとこんな効果があるのか、印象はこう変わるのか等、知らなかったお花の見え方が広がります。

本当にどうしようもなかったとしても、それもまた学びの一つです。

こんなに切るとこれしかできないという経験ができます。

失敗したー!と終わりにしてしまうのではなく、たくさんの考察、観察をしてみてください。

お花もそんなに見られることになるとは思っていなかったくらいに。

そうすれば、お花で失敗したと思うのは一瞬のことで、あとはお互いワクワクタイムに変わります。

そして、あなたに経験という財産が溜まっていきます。

悲しむことをやめて、お花に感謝して楽しもう♪

お花を扱う人間として、今回のテーマは自分の考えや行動を見つめ直す機会となりましたが、みなさんはいかがでしたか?

お花に対して罪悪感を感じていた人が、少しでも気持ちに変化があるといいなと思います。

お花に対する悲しい気持ちは、お花にとっても悲しいかもしれません。

できるだけ、あなたの嬉しい、楽しい、ありがとうの気持ちをお花に対して返してあげられるといいですね♪

はなのあのレッスンではお花をよく見るようにお伝えしていて、しつこいくらいかもしれません。

それだけお花1本1本の特徴を掴む力、魅せる力を身につけるためのものだと思っており、それがお花への感謝につながるものだと思っています。

生花ならではの恩恵(生命力や幸福感)をただ感じるだけでなく、きちんとお花とやりとりをしたうえで恩恵を受ける。

これがフラワーアレンジメントやいけばなの大切なポイントではないでしょうか。

たくさんの人がお花の命を大切にし、楽しみながら鑑賞できるようになるといいですね♪

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